八幡山一丁目だより
キッズ、YA(ヤングアダルト)におすすめの本
─ 家族、老い、介護を中心に 【特別編】
こまったとき、相談できる ともだち。
うれしいとき、かなしいとき、そばにいる ともだち。
本をひらくと、そんなともだちに出会えるかもしれません。
2歳で全盲になった僕の人生は、ずっと闇の中。
でも、その闇の中は、
ちっとも暗くないし、怖くなんかない。
どこまでも続く、
希望に満ちた世界なんです。
(本書より) 『闇を泳ぐ 全盲スイマー、自分を超えて世界に挑む。』
木村 敬一 作
ミライカナイ(初版:2021年8月20日)
(中学生くらいから)
競技者だけでなく、障害をもつ子やその家族、そして自分の置かれた環境に悩む全ての人へ。
木村が歩んだこの半生の記録は、自分らしく生きていくことのすばらしさに気づかせてくれるだろう。
(ミライカナイ ホームページより)
木村 敬一選手(東京ガス)、東京2020パラリンピック競技大会水泳競技 「男子100mバタフライ(視覚障害S11)」金メダル獲得、おめでとうございます! |
木村選手は2歳の時に、病気で視力を失いました。
水泳を始めたのは小学4年生からとのこと。
北京大会(2008年)から連続4大会出場しており、
今回の獲得を含めるとなんと合計8個! のメダルをとっています。
「ものを見た記憶がない」という木村選手。
彼が、どうやって泳ぐようになったのか。
水泳以外のスポーツは? どうしてあんなに強いの?
…などなど、知りたいことがたくさんありますよね。
この本には、これらはもちろんのこと、視覚特別支援学校時代のエピソード(夜間に寮を抜け出してラーメンを食べに行ったことや、旅行の話など)、大学生活、アメリカ生活の思い出…が描かれています。
そしてずっと感じるのが、ご両親への愛。家族っていいな。
友達っていいな。人と人のつながりっていいな。…という“あたたかさ”です。
「僕は、自分が生きているこの人生が大好きで、
この闇の中が、泳いできた世界が、何よりも大事なんだ。
だから、何度だって、この人生を生きたいと思う。」(本文より)
“ひょうきんでおもしろいお兄さん”、“悩んだり、苦しんだりするフツーの青年”、
そして、“カッコよくて自信にみちたアスリート”。いろんな木村選手に出逢うことができます。
今回、ご紹介するのは東京パラリンピック第11日目・9月3日、競泳男子100mバタフライ(視覚障害S11)で金メダルに輝いた木村 敬一選手が書いた自伝です。 「キッズ、YAにおすすめの本 ─ 家族、老い、介護を中心に」の【特別編】ということで、初めて、絵本、物語以外のジャンルを取り上げさせていただきました。ふりがながついていないため「中学生くらいから」としましたが、ユーモアとスピード感あふれる作品で、どの世代にもオススメです。 また、5章からなる構成の最後にそれぞれコラムがあり、「見えない人へのサポートについて」、「障害者の暮らしを日米比較」など、移動支援に携わる「そとでる」にとって勉強になる内容が盛りだくさんでした。 木村選手、本当におめでとうございました!
・2017年「ウィラブ世田谷」で、移動支援について語ってくださった木村選手はこちら。 ・本書はオーディオブックでも楽しむことができるとのこと。配信による販売収益の一部は、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会(JPSA)に寄付される予定です。 (オトバンク ホームページより)
・キーワード:家族 チャレンジ 肯定感 |
(スタッフ・石黒)(イラスト Copyright @ISHIGURO 2021)