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2026年1月の記事一覧

会議・研修 「せたがや福祉区民学会」第17回大会で口頭発表!

2025年11月8日(土)、区内の大学、福祉事業者、区民、行政が一堂に会し、知見を共有し、実践活動や学びを深め合うユニークな学会、「せたがや福祉区民学会」が開催されました。学会では基調講演、63の発表が行われましたが、今回も毎年参加している「そとでる」が口頭発表を行いました。
以下、発表内容などをご報告いたします。

■せたがや福祉区民学会第17回大会
学びあい 広げよう せたがや福祉の輪「ひとりひとりが大切にされるまち 世田谷を目指して」
●日時:2025年11月8日(土) 12時~17時30分
●会場:東京都市大学 世田谷キャンパス(世田谷区玉堤1-28-1)
●内容:
【全体会Ⅰ】
・基調講演「当事者中心の福祉を追い続けて~障がいのある人の生活支援の現場50年から学んだこと~」
渡邉 美佐緒氏(社会福祉法人ビーハッピー「みのりの家」施設長)
・実践研究発表:口頭発表【8会場55発表】/ポスター発表【2会場8発表】
発表テーマ
1.こども・若者が輝くまち 世田谷 
2.地域をつなぐネットワーク
3.多様性を認めあう共生社会づくり
4.ケアにおける協働・連携
5.福祉の魅力発信
6.一人ひとりに向きあった実践
・ワークショップ:テーマ「ひとりひとりがありのままに生きられるまち 世田谷」(学生理事・学生実行委員が中心となり、ワークショップにより意見交換、交流)

【全体会Ⅱ】
・大会のまとめ等

【大会プラス】
「KAiGO PRiDE@SETAGAYA」写真展「介護の魅力発信!!」/世田谷区内障害者施設による展示販売


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今大会の「口頭発表」は、事務局・吉原が「介護タクシー業界の将来展望 ~キーワードの一つは「地域連携」~」についての研究を報告しました。

■学会発表報告(要旨)
「介護タクシー業界の将来展望 ~キーワードの一つは「地域連携」~」
世田谷区福祉移動支援センター 事務局・吉原 浩一

1.はじめに(介護タクシー業界の変革の道筋)
日本の急速な高齢化に伴い、介護タクシー業界の重要性は増大している。特に2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで介護保険利用者が大幅に増加し、業界への需要は一層拡大することが確実視されている。
しかし、この成長機会は、複数の深刻な課題に直面している。2024年問題に起因する労働環境の変化、介護報酬の引き下げ、慢性的な人材不足、そして参入障壁の低さからくる競争激化である。
これらの課題と機会を分析し、介護タクシー業界が単なる移動手段の提供者から、利用者の生活全般を支える「総合的な移動・生活支援パートナー」へと変革し、超高齢社会における不可欠な社会インフラとして持続可能な成長を遂げるための戦略を検討、実践する。

2.業界が直面する主要課題
①2024年問題と労働環境への影響、②介護報酬改定の動向と経営への影響、③慢性的な人材不足、④競争激化と差別化の必要性

3.持続可能な成長に向けた戦略的展望
①サービス品質の向上と専門人材の育成、②サービスの多様化と収益モデルの多角化、③デジタル化推進と効率的な運営、④地域連携と経営基盤の強化

4.「そとでる」の対応
①介護タクシーは高度な専門性を要する接客サービスであり、サービスの根幹は、利用者の身体的・心理的状況を理解し、適切な介助を行う能力にある。介助技術やコミュニケーション能力を高める体系的な教育を継続的に実施し、専門性を磨く対策を行っている。②利用者のニーズは通院だけではなく、買い物、観光、冠婚葬祭など日常生活全般に多様化している。利用者のライフスタイルに合わせた、きめ細やかなサービスを提供することで、事業者は「生活支援」へと進化し、新たな市場価値を創造できると考え、それを伝える広報媒体を作成し情報宣伝を行っていく。③慢性的な人材不足と経営効率化に対応するため、デジタル技術の導入は不可欠である。配車アプリやICT技術の活用は、予約受付の自動化、最適な配車計画の立案、無駄な走行の削減を可能にし、運行効率を大幅に向上させる。そとでるでは、次世代の配車システム構築に併せ、スマホ操作で配車依頼から配車まで完了できるように検討を進めている。④地域に密着したサービスとして、地域の医療機関、介護施設、ケアマネジャーなどとの連携は事業成長に不可欠である。連携を通じて地域包括ケアシステムの一員としての役割を担い、事業の安定性を高めることができる。また、堅実な資金計画を立て、国や自治体の補助金・助成金を積極的に活用し、強固な経営基盤を構築する必要があるとの認識のもと、昨年度より展開している「地域連携で守る『みんなの自由なおでかけ』運動」の継続と、事業者研修会を「使える『補助金』『助成金』」をテーマに開講していく。

上記、発表の後、「助言者」(荒井 浩道氏・駒澤大学文学部社会学科社会福祉学専攻教授)、後藤 悠里氏・成城大学社会イノベーション学部心理社会学科准教授)より、貴重なコメントをいただきました。あわせてご紹介いたします。

■助言者コメント(抜粋)
本報告では、超高齢社会における重要な移動手段としての「介護タクシー」の役割と可能性が示されました。介護タクシーが病院等の送迎等の移動支援にとどまらず、利用者の生活全体を支える社会資源であることがわかり、ひじょうに示唆に富んだ内容でした。あわせて、今後の展望だけでなく、現状の課題にも丁寧に触れられており、理解が深まりました。 今後のさらなるご活躍を期待いたします。

 
発表の場にいらしたお二人から このような貴重なコメントをいただき、「そとでる」として感謝いたします。
同時に、私たち「そとでる」が、ご利用者様にとっての“社会資源”である点などをご理解いただけたことに誇らしい想いと使命感をもちました。これからも継続、課題解決などを意識していきたいと思います。