ブログ

2025年12月の記事一覧

会議・研修 2025年度第4回そとでる登録事業者研修会「カスハラ講習」開催報告

2025年11月15日(土)、「2025年度第4回 そとでる登録事業者研修会」を開催しました。
今回のテーマは「カスタマー・ハラスメント」で、受講者の皆様にカスタマー・ハラスメント(以下、カスハラ)に関する基本知識や実務としてのカスハラへの対応方法等を学んで頂きました。

■「カスハラ講習」
参加者:15名
時間:13時00分~16時00分
場所:うめとぴあ(世田谷区立保健医療福祉総合プラザ)会議室1-1、2(世田谷区松原6-37-10)

【用語解説】
カスタマー・ハラスメント:社会通念上不相当な手段や態様で事業主の就労環境を害する言動を指します。
カスハラ対策:2025年4月、「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行され、カスハラ対策が努力義務化されました。また、2025年6月に「労働施策総合推進法」が改定公布され、カスハラ対策が義務化されました。
これにより、カスハラ対策は事業主自らがその責任にて対策を講じ、就労環境を守る必要があるということになります。この「事業主」に、「そとでる登録事業者」の皆様があたります。

 

「カスハラ講習」
講 師:ペースノーツ株式会社 長和 琢也氏
     キャリアコンサルタント 吉田 有花氏
     NPO法人「せたがや移動ケア」理事 吉原 浩一氏

① 理事長挨拶
② 講師紹介
③ カスタマー・ハラスメント「法的論拠」:吉原講師
④ カスタマーハラスメント発生防止の接客術:吉田講師
⑤ ロールプレイング:長和講師、吉田講師
⑥ 全体総括:長和講師
⑦ 質疑応答


【研修会報告】

① 理事長挨拶
NPO法人「せたがや移動ケア」吉田 正理事長より、本研修会の開催主旨等についての説明がありました。続いて、「そとでる」の事務局体制の変更等について報告がありました。


写真:NPO法人「せたがや移動ケア」吉田理事長


② 講師紹介
吉原事務局長から研修会の講師おふたりについて、プロフィールのご紹介がありました。

●プロフィール
*長和 琢也(ながわ たくや)講師
地方銀行の行員として長年勤務した後、食品製造会社の経営に携わる。現在は独立して中小企業の事務サポートやコンサルタントとしてご活躍。駒澤大学に通学されていたとのことで、世田谷区との縁も深い。

*吉田 有花(よしだ ゆか)講師
服飾コーディネーターを本職としながら、相手に敬意や配慮を示す「接遇」を勉強された後、学校・企業で幾多の授業を受け持たれた。またキャリアコンサルタントとして、多くの学生、社会人の求職者を導いてきた、「接遇の専門家」として知られる。

③ カスタマー・ハラスメント「法的論拠」
吉原事務局長より、資料に基づき、カスハラの「法的論拠」について解説が行われました。 

(資料提供:ペースノーツ株式会社 長和 琢也氏)



写真:吉原講師(左)と長和講師(右)

 
④ カスタマーハラスメント発生防止の接客術
吉田講師より、資料に基づき、「カスハラ発生防止の接客術」の解説が行われました。

(写真:吉田講師)


(資料提供:吉田 有花氏)


⑤ ロールプレイング
続いて、長和講師、吉田講師のおふたりの指導のもと、カスハラ発生時を想定したロールプレイングが行なわれました。

受講者が三人一組となって、それぞれ「運転手」役、「ご利用者様」役、「両者のやりとりをチェックする」役を担当しました。


⑥ 全体総括
長和講師より、本日のゴールについてのお話がありました。

「本日のゴールは、
1. カスタマー・ハラスメント(カスハラ)の基本を理解する
2. どこからがカスハラか、現場での「線引き」の考え⽅を知る
3. トラブル時の記録・相談のしかたと、「そとでる」の活⽤を知る
という3点を学んで頂くことでした。
東京都カスハラ条例の施行以降、カスハラ対策を講じることは事業者の義務です。事業者にとっては放置できない事案となりました。
そのことを十分認識頂き、決して他人事とせず、自分事として取り組んで頂きたいと思います」と述べられました。


(写真:長和講師)

⑦ 質疑応答
長和講師のお言葉のあと、以下のような質疑応答がかわされました。

Q: 具体的なカスハラ事案はどのようなものがあるのか?
A: 「道を間違えた事へのクレームが長引く」、「料金が高い、説明を受けていない、お金を投げつける」、「運転席を蹴る」等があります。
Q: 「サービスの中断」は移動困難者を目的地に運ぶ責務があるので、現実問題として難しいと思われる。
A: その通りでしょう。しかし、カスハラがエスカレートして、身の危険を感じるような場合、サービスの中断ができることを理解しておくことは非常に重要と考えています。


【参加者の声】(一部抜粋)
・「都のカスハラ条例に違反する内容…しかるべき対応」、「威圧的な言動に対応できない」という言葉を教えて頂きましたが、いざという時に言えるかは心配…が本音です。

・お客様だけでなく、以前看護師から「こんなことでももたもたして…」と言われたことがありました。仕事を始めた頃、「介護車なのに道を譲らないのか…」と意味不明なことを非通知電話で受けたこともありましたが、今思えばカスハラだと思います。

・現代、身のまわりは、「好き・良い」相手からの言葉は聞き流せても、「嫌い・苦手」な相手から言われれば「カスハラ!」となる。必ず写真を撮り、SNSに書く行為が当たり前のようで、嫌な世の中です。
研修の感想からは離れましたが、身を守るために、言動・行動・態度には気をつけていきたいと、改めて感じました。

・事業者としてのカスハラ対策の重要性について、再認識することができました。

・「接遇の向上」がカスハラ防止に重要な役割を果たすことについても、自らを振り返ることができました。

・初めてこのような研修会に参加しました。日頃から接客には気配りを最大限にしているつもりでしたが、さらにできていなかったことに気づかされました。とても参考になり、有意義な研修だったと感じています。

・まずは「クレームを付けられない対応をする」という、当たり前のことについて再認識する機会となりました。久しぶりのロールプレイングも楽しかったです。ありがとうございました。

・カスハラについて、より詳細な説明が聞けてよかったです。

・大変貴重な時間を頂き、ありがとうございました。カスハラについてのイメージは持っていましたが、カスハラ防止が事業者の義務であることを知り、意識をもって対処・構築する必要性を持つことができました。(他人事ではないことを痛感しました)

・実際にどのようなカスハラが発生したのか、実例をもっと知りたかったです。

・ひとつのクレームがカスハラに発展する火種になりうると思うので、基本に忠実に接客業として丁寧に対応することが非常に大切であると理解できました。また、対応に困り、どうしようもない場合には、「そとでる」が相談に乗って下さるとのことで心強いです。

・カスハラに発展しないように、日頃から対応に気を付けるよう心がけします。とても良い研修でした。


【事務局より】
「そとでる」事務局では、登録事業者様がカスハラに的確に対処できるよう、東京都のカスハラ防止条例に対応するため、以下の体制を整備しております。

⑴ 基本方針の策定
・センターとしてカスハラ防止の基本方針を明文化(定義・線引き・相談・記録・情報共有・個人情報保護・公表方法)。東京都ガイドラインの趣旨に整合。

⑵ 相談窓口の開設
・相談教育を受けた事務局員3名で一次対応(事例/グレー事例の受理→分析→関係者へ助言→必要に応じ、専門家や都のカスハラ総合相談窓口を案内)。
・相談内容の記録と保存、理事会への定期報告と分析・共有(個人情報に十分に配慮)。

⑶ 研修・伴走支援
・登録事業者に向けた研修:線引き/記録ワーク/即時応対ロールプレイ
・マニュアルの雛形と記録テンプレの提供
・クレーム、カスハラ未満の事例相談も受付
・奨励金、助成金などの活用法を紹介

登録事業者の皆様、ぜひ、カスハラ問題でも「そとでる」をご活用頂きたくお願いいたします。