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■“得意なこと”で支えあう まちづくり

 ― ご本人についてうかがってきましたが、ご家族の心情や私たちが意識する点はいかがでしょうか? 先生は著作の中でご家族の発病、リハビリ、復職されるまでをお書きになっていらっしゃいますが。


 病院にいるときは本人が中心ですが、家に帰ると“家族”の一員として成り立つわけです。僕の場合は“半々”のスタンスで、妻の心理的な部分はどうか? 病気をどうするか? を考えました。
たとえば失語症の方の場合、「話し相手にならない」状況になり、本人だけでなく家族も孤立していくんです。ですから僕らがリハビリに行ったときにたくさん話す方がいらっしゃると、「普段、話す機会がないのかな?」と思って話を止めないようにしています。お聴きしながらそのご家族に「話し相手がいないか」を探ったり、いないようなら「話し相手を探してみよう」と思います。
愚痴をこぼすことはとても大事ですから、同じような状況でプライバシーを守ることのできる「家族会」は重要だと思います。また、在宅医療の場合、ご家族のことを考えるのはとても大切なことでもあります。



 ― 
「家族会」という言葉がありましたが、世田谷区では特に「認知症カフェ」の存在がクローズアップされています。「カフェ」という言葉からか気軽に参加できるイメージですが、同様の場は障がいがある方にもありますか?


 はい、あります。今は認知症の方の数が多くて、国も世界的にも認知症が焦点になっていますが、「認知症カフェは、誰でも行ける場所にしたらいい」と思っています。つまり、「単なるカフェでいいじゃないか。他の障がいの方も行けるようにしたらいい」って。
そうでないと、「認知症でないと行けないのか」となってしまうし、もっと言うと「障がい」に限定しない“集まれる場所”をあちこちにつくる必要があると思うんです。



 ― 
先生は「世田谷の福祉をとことん語ろう」フォーラムなどでもご活躍されていますが、そのような場での話しあいが“集まれる場所”、「地域づくり」につながっているのですね。


 そう、障がい者やご家族が孤立せずに色んなところに出かけて、「自分たちだけじゃない。自分たちだけのことじゃない」と思うことが大事なんです。
極端に言うと、「自分たちだけが苦しんでいる」と思う障がいの人たちが多いけれど、一歩出て、似たような障がいがある人同士で話して「同じなんだ」と思うと、スッと軽くなる。このような感覚はけっこう多いと思います。
だからこれからは、同じ障がいのある人同士、家族の集まりだけでなくて、別の障がいがある人、子ども、健常者などが一緒になって、それぞれがもっている“得意なこと”で支えあうまちになっていけたら…と思います。
作業療法士の勉強をしている学院の授業に片麻痺の人々が参加しました。そこで学生に片麻痺の方に触れて体験してもらったら、触られた方は「自分の片麻痺が(学生の)役に立つんだ!」と“役割”を実感しました。
このように、障がいがある人も支えてもらうだけじゃなくて、自分にできる“役割”をもつ場を得ること。これが本当に大事なんです。そして、これは障がいがある人同士でない場所で起こったことですよね。だからこそ「色々な人たちと触れあい、関わりあうこと」が重要だと思います。



 ― 
私たちは普段よく“支援”という言葉を使います。改めて、「支援ってなんだろう?」と考えました。


 僕がなぜ障がいがある人とつきあっているかというと、“感動”があるんですね。障がいがある人とは、肩書きをはずしてつきあわないとうまく向きあっていけない。障がいがあって、ゼロじゃなくてマイナスから苦労をしてきた方にはどこかエネルギッシュな部分もある。僕の場合、こちらが治療するだけの一方通行じゃなくて、エネルギーをいただいている気がする。だからずっと世田谷にいるんだと思います。
 “支援”は必要です。でも「“支援”だけではない」ということを意識して支援しているかどうかが、大切なんです。
相手の方が、そのうち少し元気になられる。そしてその方の体験談を聞かせていただいたりすることは支援する側にとって参考になります。



 ― 
「そとでる」では「おでかけサポーターズ」というボランティアグループにご協力いただいて日帰りツアーなどをしているので、参考になります。


 障がいがある人への配慮は必要ですが、“距離感”のようなものは人それぞれです。「この人が一歩踏み出すために、これが一番やりやすいならしよう」と思うこと。たとえば「劇場に行こう」というときに、その劇場を嫌いな人がいたら無理しなくてもいい。行きたいと思う人がいたら、その人が他のメンバーに「行きたい人いる?」とアナウンスしたらいい。行きたいと思った人が中心になるかたちが理想的で、僕たちはあくまでも仲介役。添乗員的にはならないように、ご本人に主体的になっていただくことを一番大事にしましょう。あくまでも「ご本人が主役」になるように意識することです。
そのかわり、失敗してもいい。車の手配は「そとでる」、「音頭をとるのは誰ですか?」 とイメージして、参加する人が自分たちで考えて、役割を実感する。時間はかかりますが、「最初のハードルを期待して待つ」ことが大事だと思います。



 ― 
先生は障がいがある皆さんとのご活動で、どちらへ行かれましたか?


 歌舞伎座や劇団四季などですね。1回目は僕らが企画して、2回目から参加する方にお願いしていましたが、いつも「主体的に」は難しいですね。



■歩くこと ─ 目的から手段へ

 ― 最近、比較的お若い方に高次脳機能障害の方が増えてきているように思いますが?


 日本では2001年から「高次脳機能障害」という言葉が使われるようになりました。記憶、言語、感情などが“高次脳機能”ですが、そこが障害を受ける。「高次脳機能障害」は総称ですから色々な症状がありますが、人間的な機能の障害ということです。
失語症と記憶障害は別で、失語症の方は会話がままならない。記憶障害の方は、会話はできるけど記憶がままならない。いずれにしても頭の中で考えていることは普通です。失語症の人が「言葉が通じない」と言ったとき、頭の中は普通に考えています。でもうまく話せないし、相手の言葉をキャッチできません。



 ― 
色々考えて伝えようとしているのに、周りは「わからないでしょ?」みたいな態度だとイライラしますね。


 そうなんです。「どうせわからないだろう」と思われていると気づいて、怒る。でも、その怒りを言葉で表現できないから「うーっ!」と怒ることしかできずに、周りから「あの人はすぐ怒る」と言われたりします。
失語症の方とのコミュニケーションでは、思考過程も過去の記憶も残っていることを理解して話すようにしましょう。



 ― 
先生の夢をお聞きしたいです。


 僕の夢は、その方の残っている力をうまく発揮できる機会をつくること。
障がいがある方が支援を受けつつも、支援する側にまわることができる。同時に、一緒にやっている僕たちもたくさん得るものがある。それが世代を超えた夢ですね。
そのために地域を、現状を変えていきたい。障がいがある方たちが支援を受けるだけにとどまらず、色んな役割をもって支援する側にいく。でも支援は受ける。そんな地域をつくりたいし、それが「地域包括まるごとケア」の論理です。今ある地域包括ケアはいわゆる支援をする人たちの話ですから、片手落ちですね。



 ― 
最後になりますが、「そとでる」をご利用している皆様へのメッセージ、「そとでる」登録事業者様・スタッフへのメッセージをお願いします。


 リハビリに取り組んでいらっしゃる方に対しては、「ぜひ『夢』をもって、それを実現する方法を考えてください」ということです。1人では難しくても、周りと一緒に考えていれば実現すると思います。チャレンジしてください。
そして、「歩く」ことは本来的にはどこかへ行くための“手段”です。
でも、リハビリする方にとって歩くことは“目的”になります。医療機関に行くだけではなく、別の場所に行く、行きたいという目的地があると、その方は変わっていくと思います。僕たちは常にその視点を持っていないといけません。
そのためにも地域を変えていく必要があるし、「『そとでる』の移動能力を使って、喫茶店に行ってみんなで話そうよ!」という感じになるのが理想ですね。
もちろん最初は大変だと思いますが、これからの「そとでる」に期待しています。



 ― 
本日はお忙しいなかお時間をいただき、ありがとうございました。



◆「おじゃましました!」訪問後記

 20年前、私が社会教育主事の頃に障がいの方々の自然体験事業でご一緒した長谷川先生を、現在は往診の運転でお手伝いしております。
今回「そとでる」のホームページに先生のお人柄や情熱をご紹介することができ大変うれしく思うととともに、人のご縁の大切さを改めて感じております。
これからも「そとでる」を通して長谷川先生とのご縁がより多くの方々に広がることを願っております。(望月)


(取材: NPO法人せたがや移動ケア 監事、サン・ゴールド「望」 望月 明夫。
せたがや移動ケア スタッフ  泉谷 一美、石黒 眞貴子。
文・写真: 石黒 眞貴子/2016年2月末)