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「そとでる」のスタッフが、お世話になっている方・気になる方のもとへうかがって
“いま思っていること”をお聴きする「おじゃまします!」


第5回は、社会福祉法人武蔵野会 世田谷区立烏山福祉作業所(就労継続支援(B型)施設)におじゃましました。


                                   *


「八幡山一丁目だよりvol.12」でご紹介した『自主生産品カタログ はっぴぃハンドメイドBOOK』掲載のお菓子。世田谷区内のイベントや喫茶店、施設、店舗などあちこちで見かける機会が多くなりました。それぞれに特徴ある手作りのお菓子が魅力です。


そのなかでも烏山福祉作業所自主生産品「工房asi」のお菓子は、ちょっとユニーク。
世田谷文学館二子玉川公園ビジターセンターなどで購入できますが、ほんのり和テイストのかたち・風味が個性的です。
どのような方が、どんな場所で、お菓子づくりにかかわっていらっしゃるのでしょうか。




烏山福祉作業所には、現在57名のご利用者が通っています。


ご利用者は開始時間の9:00から終了の15:40(降所は16:00)まで
「支度、ラジオ体操、朝礼、作業、清掃、終礼、支度」等の日課を通じて、地域生活における自立をめざしています。


施設職員は17名(実際に支援を行なっている施設職員は12名)。
作業や活動の支援を行なっていらっしゃる、主任・板谷 丹(いたや・まこと)さんに作業所内を案内していただき、個性豊かなお菓子の誕生や地域との結びつきについてうかがいました。

 「烏山福祉作業所とは」 心身に障害があり、一般企業などに就職が困難な方に対し作業の場を提供し、お仕事をサポートします。作業や余暇活動などを通して地域生活における自立への支援を行うことを目的とした施設です。平成20年度より、障害者自立支援法により就労継続B型事業を平成21年度からは就労移行支援も実施しております。(烏山福祉作業所ホームページより)

烏山福祉作業所で行なっている作業は、大きく受注作業(菓子梱包、DM封入、ラベル貼り、袋づめなど)・自主生産(菓子製造、刺しゅう製品、トラベルネット、機織りなど)・官公需(公園清掃、自転車リサイクル、アルミ缶リサイクルなど)に分かれています。
この日、特別におじゃまさせていただいた作業室では受注作業、自主生産を見学。
皆さんの真剣なまなざしと丁寧な手の動きに目を奪われました。

  (写真は、つめ終わった受注品(左)と、
 袋づめの作業中(右))
 

  (写真は、自主生産品のトラベルネット(左)と機織り(右)の作業。どちらも専門に担当している方がいらっしゃるとのこと。繊細かつ堂々とした所作が印象的)

 別室のお菓子が作られる部屋に入ると、大きさが異なる型違いのオーブンに目がいきます。  


「オリジナルのお菓子を作り始めた頃は、一般家庭用のこの小さいオーブンで作っていたんですよ。“業務用と違ってたくさん作ることはできないけれど、一つひとつ心をこめて作りましょう”という気持ちでした」と板谷さん。

  「はじまりは家庭用オーブンだった」とお聴きして、どこか懐かしいかたちや甘さに納得です。
そこで気になるのが、独特の“和テイスト”。なぜ?
   

「私たちがお菓子づくりを始めようと考えたとき、世田谷区内にはクッキーやパイで有名な作業所がたくさんありました。ネームバリューではとても太刀打ちできない。それならば、少しでもオリジナリティのあるお菓子を作って、リピーターさんを増やしていこう、と。
そう考えたとき、“量より質”、“やさしくておいしいお菓子”を心がけたいと思い、烏山福祉作業所ならではの“和テイスト”のお菓子づくりをめざしました」


烏山福祉作業所を運営する社会福祉法人武蔵野会が世田谷区から指定管理者として運営を任せられたのは、平成20(2008)年。
そのとき、職員たちは「受注作業以外に、少しでも工賃を上げるものを生みたい」と考えたそうです。
そして、以前、お菓子会社で働いていた職員がその経験を活かしたり、別の職員が月に1回、和菓子づくりの教室に通うなど、開発にかかわる職員が一丸となって菓子製造に励みました。
その後生まれた定番商品や、ヒット作の数々からたくさんの“想い”が伝わってきます。

  

 「数々の自主生産品をたばねる屋号 ─ 工房asi にこめられた想い」
「工房asi」の“asi”は、烏山福祉作業所の最寄り駅、京王線・芦花公園駅の“芦”であり、季節や自然を深く感じることのできる都立芦花公園、蘆花恒春園の“芦”=“asi”です。
作業所がある「地域」への愛情から名付けられたこの屋号は平成21(2009)年から使用されましたが、同時にそれまでの自主生産品であったトラベルネットや裂き織り製品などに加えて菓子製造販売がスタートしました。

お菓子づくりを開始されてから変化はありましたか?

「お菓子に、“地域のファン”がついてくださっていると感じます。販売にご協力いただいている施設や店舗は少ないですが、ご利用者の保護者や職員など“身内”のクチコミや、毎年11月に開催する“さぎょうしょ祭”での販売を通じて、お菓子を購入してくださる方が増えています。一度購入して『おいしい』と思ってくださった方が、お子さんが通う世田谷区立武蔵丘小学校や世田谷区立希望丘中学校(現船橋希望中学校)等のPTAで召し上がるために購入、という例もありました」


お菓子を通じて地域の中で烏山福祉作業所の知名度が上がり、応援してくださる方々が生まれていったのですね。


  「地域とのつながり方は他にもいろいろあります。たとえば日本女子体育大学のゼミの学生が毎週いらっしゃって、ストレッチや運動を教えてくださることもありましたし、ボランティアの方々とのふれあいもとても大事です。
ホームページをご覧いただくと“ボランティア募集”というコーナーがあるのですが、そちらをご覧になって『やりたいです』とご連絡をくださる方がいらっしゃるんですね。ご利用者の話し相手になっていただいたりして、とてもありがたいです」
 

 これからも応援・支援してくださる方、烏山福祉作業所の存在を知る方が増えると良いですね!


「当施設は最寄り駅からやや奥まった場所にあるのでわかりづらいかもしれませんが、作業所のことをもっと知っていただきたいです。そのためには“さぎょうしょ祭”について町内の掲示板や小中学校でPRさせていただいたり、イベントなどで多くの方に自主生産品を手にしていただければ、と思います。
私自身は『人それぞれの想いに寄り添って、その人の想いが実現できるように支援したい』と思うので、ご本人やご家族との話しあいを大切にしていきたいです」


働く喜び、ものを作る喜び。作業で得る工賃、生きがい…。
板谷さんの「人それぞれの想いに寄り添う」という言葉が、ご利用者の方々の丁寧な手作業や皆さんの明るい挨拶に重なりました。


多様な作業や活動を通じて、ゆっくりと着実に地域のなかでつながっていくご利用者。支援する職員の皆さん。
そして、お菓子などの購入、運動、ボランティア参加で応援・支援する人たち。
改めて自立、就労、地域でのつながり方を考える時間をいただきました。
烏山福祉作業所の皆様、ありがとうございました。


(取材・文・写真:石黒眞貴子/2015年3月)

*1枚目のお菓子と文末近くのお菓子写真、2014年さぎょうしょ祭ポスター:「世田谷区立烏山福祉作業所」様ホームページより