水村美苗という作家を知っていますか?
世田谷区出身ですが12歳で父親の仕事の関係で渡米。
スタンフォード大学客員教授として、日本近代文学を教え、
プリンストン大学で教鞭を執る傍ら日本語で小説を書き始める。
なんだかすごい経歴です
彼女の小説には繰り返し世田谷の風景が登場します。
千歳船橋の商店街、芦花公園近くのガスタンク、笹原小学校。
高度成長期に発展していく世田谷の様子。
実際に知っている風景を思い描きながら読むと一層読書の楽しみが増えます。
そして「母の遺産 新聞小説」という2012年に刊行された近著では、
ご自身の体験を基に母親の介護が大きなテーマとなっています。
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内容(「BOOK」データベースより)「家の中は綿埃だらけで、洗濯物も溜まりに溜まり、生え際に出てきた白髪をヘナで染める時間もなく、もう疲労で朦朧として生きているのに母は死なない。若い女と同棲している夫がいて、その夫とのことを考えねばならないのに、母は死なない。ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」
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介護を担って疲れきってしまった、
他のことも上手く行っていない、
そんな状況から逃げ出したい、楽になりたい、
でもやらねばならないことが目の前に山積み。
吐き出したい思いがあるのも当然です。
なかなか人には言えない想いも読書で主人公の心理に心を重ねることで、
少しスッキリし、活力が出てくることもあるかもしれません。
この小説は新聞に連載されたものなので、1話ずつの区切りが良く、
忙しい日々の合間にちょっとずつ読むのにも適しています。
疲れた心が少しでも和らぐ瞬間がありますように
これからも、介護をテーマとした小説や映画、
少しずつご紹介していきたいと思います!
(スタッフ荒木)