2018年11月8日(木)、国立研究開発法人国立成育医療研究センター「もみじの家」(国立成育医療研究センターの医療型短期入所施設。世田谷区大蔵2-10-1)を、「せたがや移動ケア」の久米理事と「そとでる」スタッフの水上、石黒が見学しました。
この見学は、「医療的ケア児」というキーワードに関心を持ち情報収集を行っていたスタッフが企画、「もみじの家」とご縁のある理事にご相談して実現したものです。
「見学させていただき、今後の移動支援に役立てることができたら」(久米理事)。「配車のご依頼・ご相談をいただいた際の注意点を学びたい。また、医療的ケア児と言われる子どもたち、ご家族の現状を知りたい」(スタッフ)と、それぞれの想いをもって見学にのぞみました。
医療的ケア児: 生活するなかで医療的ケア(人工呼吸器やたんの吸引など)を必要とする子どものこと。新生児医療の発達に伴いNICU(新生児集中治療室)が増設され、その結果 医療的ケアを必要とする子どもの数が増加傾向にあると言われている。
「もみじの家」は医療的ケアが必要な子ども、その家族のための施設である。
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「もみじの家」に一歩足を踏みいれたとき、まず感じるのが明るさと清潔感です。その清潔感は施設がまだ新しい(2016年4月開設)から…というだけではありません。心地よく、安心感ある空間は、気持ちの良い動き・明るい声の職員さん(看護師、保育士など)たち、優しいまなざしがあたたかいハウスマネージャーの内多 勝康さん(写真)、きめこまやかな心配りを実践するボランティアの皆さん(登録者約100名)たちのサポートでつくられています。
そう、「もみじの家」は医療的ケアが必要な子どもさんをケアするだけでなく、そのお子さんに“子どもらしい時間”を。そしてご家族には“心身の休息”を提供する場なのです。
共用ダイニングキッチンにいらっしゃったご家族が内多さんに「お世話になっています!」と気さくにお声をかけている様子を見て、この施設はまさにご利用者にとって自然体でくつろぐことができる「家」と、感じました。
まるで我が家を掃除するように「ボランティアの方々があちこちを磨いてくださるんですよ」と、内多さん
私たちも、内多さんに導かれて歩きながら、壁に並ぶ「子どもたち」(いわさきちひろさんの絵)にほっこりしたり、居室(家族と一緒に泊まることができる個室5(うち家族室2併設)、三人部屋2)、浴室(一般浴室、機械浴室)に込められた想いや目的、機能性に見入ったり。
プレイコーナーの絵本や、ままごとグッズ。飾られたカラフルなモビールや折り紙…。「センサリールーム」と名付けられた、五感を癒し、楽しむ部屋(スヌーズレン: 療育、感覚訓練、リラックスなどが主な目的。ヨーロッパを中心に取り入れられている)を体感した頃、私たちはなんともいえない穏やかな心もちになっていることに気づきました。
(上段左から) 内多さんから居室について、説明を受ける理事とスタッフ。
最新式の機械浴室。からだではなく浴槽そのものが上下するので、入浴中の不安が少ない。
さらに、介助している職員も腰をいためずにすむ。
他に、家族が一緒に入浴できる浴室もある。
視界が広く、職員の眼が行き届くプレイコーナー。
その中にある「子どもたちに大人気!」というシステムキッチン(ままごとグッズ)は、ご寄付によるものとのこと。
「センサリールーム」。室内は照明、映像、音に楽しい工夫がいっぱい!
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すべての見学を終えたあと、内多さんから「もみじの家」の目的やご利用(1回最長9泊10日。0─19歳未満が対象、等)について。医療的ケア児とご家族の現実について等をご説明いただき、今後の課題(「財政難」の現状、「全国に同様の機能を持つ施設を!」等)を知ることができました。
また、「そとでる」からは移動支援について説明させていただき、「施設をご利用される際、移動困難な方がいらしたらご連絡ください」と支援の連携をお伝えさせていただきました。
【見学を終えて】
・今まで入ったことのない施設内を見学できて、とても良い経験をさせていただきました。ありがとうございました。
個人的には赤堤介護タクシーを開業する前は訪問入浴介助の仕事をしていたこともあり、最新型の機械浴槽を目の当たりにして、とても感動しました。また、さまざまなタイプの居室(個室、三人部屋)がご利用者の想いや個々のご事情を取り入れた環境になっていることが素晴らしいと感じました。登録面談の予約が先のほうまで埋まっているということにも、納得がいきます。
なにより、今回「そとでる」についてお話しする機会をいただき、ありがたく思います。耳を傾けていただいたことにお礼を申し上げるとともに、ご送迎等必要の際は、ぜひ「そとでる」までご連絡ください。
(理事・久米)
・医療的ケア児と家族を支援する「もみじの家」の館内にお邪魔をさせてもらい即座に感じたことが、柔らかな温もりでした。施設内は明るく清潔感があふれ、華美な装飾ではなく、ホッと気持ちが落ち着く…立ち止まって観ていたくなるような演出が施されていました。
見学のあと、内多さんのお話を聴かせていただき、医療的ケアが必要な子どもたちが家族と共にこの空間で安らぐことを中心に考えられていることを感じました。また、「もみじの家」が、医療はもちろん、学びやレクリエーション、そして交流といった、あらゆる方面からのケアを目的とした、“安心の場”であることを実感しました。
医療の技術が進み、出生時のリスクは激減しているそうですが、重大な障害への対策はまだまだ足踏みのようです。
ボランティアや助成金、寄付で成り立つこのような施設は、満足が行くほどの数を設営することは現状では厳しいと思います。同様の施設が一つでも多くの場所に存在できたらよいですね。
(スタッフ・水上)
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今回、重い病気を持つ子どもと家族を支える医療型短期入所施設として知られる「もみじの家」が、多くの方々の支援と希望から運営されていることを実感しました。この見学で得た気づきを無駄にしないよう業務に取り組んでまいります。
また、私たちの「見たい」「知りたい」「今後に役立てたい」という想いにご協力くださった「もみじの家」の皆様、内多さん、お忙しいなか、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
(写真・まとめ:スタッフ・石黒)
*「もみじの家」お問い合わせ先
(受付時間: 月─金(祝日除く) 9時─17時): 03-5494-7135(直)
2019年1月「そとでる」ホームページ掲載予定の「SPECIAL CONTENTS ウィラブ世田谷」は、今回お世話になった「もみじの家」ハウスマネージャーの内多 勝康さんにご登場いただきます。「もみじの家」について、内多さんの取り組み、セカンドキャリアについて、「夢」…と盛りだくさんのお話をうかがいました。どうぞご期待ください。