SPECIAL CONTENTS
「ウィラブ世田谷
そとでるへの応援メッセージ」
●香瑠鼓 氏 インタビュー
SPECIAL CONTENTS「世田谷区長・保坂展人氏」「森繁 建氏」に続くインタビュー第三弾は、
“カリスマ振付師”として名高い香瑠鼓さんにお話をうかがいました。
「下北沢在住28年」という香瑠鼓さんは、振付師、ダンサー、パフォーマー、シンガー…などなど、
一流の表現者として有名な方ですが、「バリアフリーワークショップ」というワークショップを長年続けていることでも知られています。
「バリアフリー? 踊り? どんなことだろう?」と、「そとでる」スタッフがお邪魔した1時間。
香瑠鼓さんのお話と活動から、新しい表現や希望に満ちたパワーを感じてください。
香瑠鼓(かおるこ)氏プロフィール

振付家、アーティスト。
1957年・東京都生まれ。早稲田大学卒業。
長野パラリンピック開会式、慎吾ママの「おはロック」、YUKIの「JOY」等、
歌やCM、舞台などの振付を1,000本以上手がけた。
最近では、「ベトナムにもダイワハウス」や「ぱりんこ」のテレビCMが話題。
またライフワークとして18年間続く、障がいを持つ人・持たない人が一緒に行う即興を基本にした「バリアフリーワークショップ」を含む「香瑠鼓カラダラボスクール」を主宰、カラダと声を使った独自メソッドや、ダンス・振付を教えている。
2000年、エイボン女性年度賞芸術賞受賞。
2003年~2008年、朝日広告賞(朝日新聞社主催)審査員。
著書に『ふぅ~はっ!』(NHK出版)、『ダンスでコミュニケーション!』(岩波ジュニア新書)、コミック『頬にかかる虹』(秋田書店)。
また、2012年4月に『脳とココロとカラダが変わる 瞬感動∞ワークショップ』(高陵社書店)を発行。
独自のメソッドがまとめられている。
未来を創る!社会のあらゆるバリアを超えて
■「受け取る」ことと表現
スタッフ 下北沢に長くお住まいとお聞きしました。
香瑠鼓氏 はい、28年ぐらいになります。実家もこちらにあります。
スタッフ 香瑠鼓さんの著書を拝読したのですが、幼い頃のエピソードがたくさん書かれています。幼稚園の頃はとてもシャイだったとありました。

香瑠鼓氏 小学校3、4年生の頃から変わりましたね。テレビに山本リンダさんが出てきてそれを真似するようになったり、「食べる」ようになったのがきっかけです。
私はその頃「食べる」ことが好きではなかったのですが、キャンプに参加して飯盒炊爨(はんごうすいさん)で食べた食べ物がとてもおいしくて。「食べ物と自然界のつながり」を実感するようになったというか、それから食べるようになって元気になりました。
それまではしゃべれない子でしたが、しゃべることができるようになりました。自然のなかで食べた経験から、身体が活性化したのかもしれませんね。
スタッフ 踊ることはなにかきっかけがあったのでしょうか?
香瑠鼓氏 4歳のときです。妹が足に障がいがあるため通院していたのですが、一緒に行っていた私が病院の待合室で急に踊りだしたそうです。自然とからだが動いたんですね。
踊りはたぶん天職に近いですね。知らない間に踊っていたわけですから。
スタッフ 病院の待合室で、ですか! 音楽が鳴ると身体が動く感じですか?
香瑠鼓氏 4歳のときはビートが好きでした。今も変わらずに、本能的なビートが好きですね。生命力みたいなものが感じられて。
メロディーは横ノリですが、「元気が出る」のは、縦ノリなんです。生命力でどんどん活性化される。だから子どもはよく縦にはねていますよね。
スタッフ 4歳から現在まで、ずっと踊りを続けていらっしゃるんですね。
香瑠鼓氏 「新しいものをつくりたい」と思ってきたからだと思います。歌やお芝居ではなく、かつ既成のものや海外のものの真似ではない。「新しいものをつくりたい」という強い意志を持ってやっています。
中学、高校と踊りを続けて、大学に入ってからオーディションを受けるようになりました。そして、渋谷のパルコ劇場で公演された「ヘアー」*という舞台に出ました。
*「ヘアー」:ミュージカル。オフ・ブロードウェイの初演は1967年、ブロードウェイは1968年。ロック・ミュージカルの元祖と言われている。
五十嵐梨華氏(香瑠鼓氏妹) 香瑠鼓が突然「芸能界に入る」と言い出したとき、「宮城まり子*さんのようになりたい」と言ったんです。それまではどちらかというとおとなしい姉だったのに、「私は宮城まり子さんのようになりたい。そして芸能界を変えたい。だから芸能界に行く」と言ったのをよく覚えています。
*宮城まり子:東京府出身の歌手、女優、映画監督、福祉事業家。芸能活動のほかに「ねむの木学園」(1968年に設立した肢体不自由児の社会福祉施設)設立で知られている。
スタッフ 「新しいものをつくりたい」「芸能界を変えたい」という想いで芸能界に入ってご活躍しながら、他者に振付をされるようになったのですね。
香瑠鼓氏 私自身は真似がきらいだし、努力すればうまくなると思う“根性派”でしたが、1989年、「Wink」に出会って振付をすることになりました。
当時はバブル期で、“努力すれば成功する”という時代。だからこそ、一般大衆からすれば芸能人を観て「ホッとしたい」「癒されたい」という流れがあったのだと思います。その時代の流れを感じたときに、「私は流れからはずれている」と思いました。そして「あぁ、そうか。流れのなかに乗って、みんなが観たいものをつくろう。みんながリラックスできるものをつくろう」と学んでから、ヒット作を生み出せるようになっていきました。
時代というものと自分の考え方がうまくミックスされて、流行っていく。その流れを経験したことがひとつのポイントだと思います。
スタッフ 当時、たくさんの人が「Wink」の振りを真似していたほど影響力がありました。
香瑠鼓氏 はい。それまで自分の考えは「努力すればできる」でしたが、もうひとつ、「自分がいま生きている時代を受け取る」ということを勉強したんですね。みんなが何を見たいのか。たとえば「この状況を受け取る」とか、CMだったら「商品を受け取る」、クライアントの「意向を受け取る」。タレントさんの事務所がおっしゃることを「受け取る」。全部を受け取ったあとに必ず答えがあると信じて、自分自身が表現していくのです。
■感動を生む即興ダンスのチカラ
スタッフ 障がいを持っている方たちとのかかわりはどのような経緯からですか?
香瑠鼓氏 私は芸能界で活動していましたが、好きな踊りや歌をライフワークとして続けていました。ある日、その公演に学習障害の中学生の女の子が来ました。そして公演で私の踊りを見て「やらせてください」と言ったのです。生まれて初めて自分の口で「自分で何かやりたい」と言ったと、あとから聞きました。
その後、障がいのある方々たちと普通の方たちをまじえて公演を始めるようになりました。
*YouTube 2007年に行われた「香瑠鼓 バリアフリーダンスワークショップ」(築地本願寺)
http://www.youtube.com/watch?v=vPk-4qRQhIs
スタッフ 子どもたちはどのように変わっていったのでしょう?
香瑠鼓氏 一番長く教えている子はチビユカちゃんという子です。初めて会ったときは小学校3年生で、学習障害を持っている、うまく話ができない子でした。
最初は振付もできなくて、指1本で合わせることもできなかったのです。私の振付を真似しようとすると転んだりするぐらい。現在、その子は24歳になりましたが、ウットリするほど素敵な即興を踊るダンサーになりました。
6、7年前まで即興ということがわからなくて、必ず「ポポちゃんの犬」というのをやっていました。片手を差し出す同じ踊りを練習してきて見せてくれたのです。
それが今は「生きててよかった!」という顔で、「自然」を即興で表して踊っています。しかもそれだけではなくて、彼女は私が何をやりたがっているかわかるんですね。まるで私のかゆいところに手が届くみたいに。
いま、500円で観ることができる「ルゥフェス」という公演を行なっていますが、チビユカちゃんにはいつもいいポジションで出てもらっています。
彼女が踊ることで、みんなが「即興ってこうだよね」と思う。私たちはみなさんに、「即興をこういうふうに踊ることができる。こういうふうになるんですよ」と観ていただける。それはすごいことだと思います。
チビユカちゃんは、働いたりするなかでつらいことがあるのか、原因不明で吐いてしまう時期があります。吐き続けてしまうというのは、生きる意欲をなくしているということですね。私はそのような彼女を長い期間見ていますが、「ユカちゃん、踊るから元気になろうね」とメールすると、お母様から「久しぶりの笑顔です」と笑顔のユカちゃんの写真をいただいたりします。
ユカちゃんからもメールが来るのですが、必ず「大好きです。うれしいです。守ってあげます」って書いてくれるんです。彼女は私に何かを「やってあげよう」と思っているんですね。その「守ってあげます」が、いつもうれしくて。
ワークショップを続けていてよかったと思います。
五十嵐梨華氏(香瑠鼓氏妹) 隔月で行なっている即興のパフォーマンスライブ「ルゥフェス」には若手メンバーや海外で活躍している一流のメンバーが参加していますが、そのなかにユカちゃんも出ているんです。当たり前のように舞台に出ていて、しかも遜色ないどころか「一番いい」って言われています。それはまさに「バリアフリー」ではないでしょうか。
*2013年12月22日、23日「ルゥフェスVol.6 即興パフォーマンスライブ!」開催!
https://www.facebook.com/events/417132501749714/417142565082041/?notif_t=like
スタッフ 観る側を感動させるのは難しいことだと思いますが……。
香瑠鼓氏 きっと観ている人に、「生きててよかった。いま、生きているんだ」
という感じが伝わるからですよね。もちろんそこには、テクニックがないといけない。感動させるには、アートとして認められるようでないといけません。そのようなテクニックを即興で学べるメソッドを紹介しているのが、この本です。
ここには、私の「ネイチャーバイブレーションメソッド」という脳と心と身体が変わるメソッドの基本を載せています。このメソッドワークを行うと楽しみながら表現力を高めたり、コミュニケーションができるようになります。
また、この本のもうひとつの特徴は、28人の「ネイチャーバイブレーションメソッド」体験記をご紹介していることです。障がいを持っている方・持っていない方、さまざまな方たちの声があります。先ほどお話しした「受け取る」ということについても説明していますので、ぜひご一読ください。
*YouTube「ネイチャーバイブレーションメソッド16.Easy communicationVol.1 まだかな?? もうちょっと待って編」
http://www.youtube.com/watch?v=2RI_YVzY5Rk
スタッフ 先ほどのお話で、香瑠鼓さんに送ったお母様のメールが印象的でしたが、お子さんの親御さんたちとのかかわりも多いのでしょうか?
香瑠鼓氏 うちの「バリアフリーワークショップ」は、実はお母さんたちにすごく好評なんです。ご紹介した本にはたくさんのお父さん、お母さんの文章が載っていますが、一緒に踊っている写真もたくさん掲載しています。親子でやっていらっしゃるんですよ。
スタッフ お母様も「表現者」になるんですね。
香瑠鼓氏 そう、とても美しいですよ。
たとえば、あるお母さんがおっしゃっていたのですが、喫茶店で働いていて以前はあがり症だったんですって。仕事がたてこんでくると、どういう順番で、どうやったらいいのかわからなくなったそうです。それがワークショップをお子さんと一緒に経験するようになってから、「スムーズにできるようになった」と。「ここに来たおかげで、仕事が早いと言われます」と、言ってくださいました。
心が解放されると、脳にもいいんですね。私は東京大学でも教えましたが、勉強はもちろんお仕事にも良い影響があります。だから子どもたちはかなり頭がよくなるし、就職率もよくなります。
五十嵐梨華氏(香瑠鼓氏妹) さまざまな可能性が開いていくということかもしれませんね。
スタッフ 素晴らしいですね! 東京大学で指導されたということですが。
香瑠鼓氏 2011年に東京大学教養学部で、2012年には全学部を対象に教えました。約10年前、ある拒食症の女の子と出会いました。大阪から点滴を受けながら東京に通っている大学生でしたが、彼女は「即興ダンス」に触れて変わっていきました。実は彼女は、東大の大学院に即興のダンスのアプローチで初めて受かった人でもあります。
一般的に踊りというと、振付をしてきちっと踊ると思われています。が、私は振付がなくても、覚えられなくても「踊っていい」と思っているので、それが即興ダンスになるわけです。それを学問として認めていただけるように、彼女と一緒に研究していきました。
最初は東大でも「即興の踊りってなんぞや?」という感じでしたが、今は、「認知科学」「脳科学」「舞踊学」の3つのジャンルの国際学会で論文が発表されて認められました。それが先ほどお話しした東大大学院生の中野優子さんと私が共同研究した論文です。
この論文は、障がいのある方たちとの出会いが発端だと思っています。
*YouTube「香瑠鼓・東大講義・1」「香瑠鼓・東大講義・2」
http://www.youtube.com/watch?v=I5RQV5zrjZg
http://www.youtube.com/watch?v=9EFMdphM4tgYouTube
■すべての人がつながるように
スタッフ 私たち「そとでる」は高齢の方々のご利用が多いのですが、「高齢者の皆さんと踊り」ということでご記憶に残ることはありますか?
香瑠鼓氏 「カラダラボスクール」に習いに来てくださっている方で一番のご高齢者は73歳の方です。60歳代の方が2人ぐらいで、40代、50代の方が多いですね。
もう10年ぐらい前のことですが、私が一番すごいと思った方は70代の方でした。そのとき「ワンポーズで何かを表す」というテーマを出し、「お金を貸してください、というワンポーズをみんなでやりましょう」と言ったのです。ほとんどの方がいかにも「お金を貸してください」というポーズをとるなか、その高齢の方だけが、「お金を借りるときは、自分を卑下したらだめです!」っていうとても品の良いポーズをされたんです。それを見て、「私にはこれはできない。年齢や生き方が表れる、こういう素晴らしさが即興の良さだ!」と感じました。
こちらが導き出せばお話しした方のようになります。10年も前のことですが、その方が持っていらっしゃる一番のチャームポイントがうまく出た例として忘れられません。
スタッフ 40代、50代の方が多いとのことですが?
香瑠鼓氏 特に男性が多いです。教育関係のメディアのプロデューサーで、「ルゥフェス」で踊って評判が良かった方がいます。その方は「今は教える時代じゃない。人の魅力を引き出す時代だ」と、おっしゃっていました。昔ながらの「教える」は古い教え方で、その人のいいところを引き出す時代だ、と。それは本当にそのとおりで、ここに来ると教えるのではなくて、その人の魅力を引き出すようにしているんですね。
ほかには大学教授、中小企業支援団体の事務局長、若者が更生する施設の副理事や企業の部長など、ご自身の地位が高くて苦労している方々が、声を出したり、身体を動かしたり、踊っています。
スタッフ 踊りの体験で、異なる世界と出会うことができそうですね。
香瑠鼓氏 はい。あとは高齢者とのエピソードで言うと、子どもと高齢者の体験で「ハグ」があります。高齢の方である程度役職の高い方たちが集まっている団体がミュージカルをやっているのですが、私は毎年そこに行きます。そのなかで「フリーハグ大会」というのをもうけて、高齢の人たちが客席に行ってハグするんです。私も一緒にハグすると「ありがとう」と感謝されます。あまりハグする機会がないからでしょうか、「ありがとう」って。
スタッフ 日本にはハグをする習慣がないので、余計にうれしいのかもしれないです。
香瑠鼓氏 めちゃくちゃ簡単な振付があるんですよ。ハグして「OK!」するだけの振付だから、誰にでもできる。高齢者の方たちがその振付を順番に次の人、次の人…というようにやっていくんです。
1曲のなかに、みんなで手をたたいたりハグがある振付なので、無理なく「ハグ」できます。
スタッフ そう考えると、踊りのなかでは「普段できないこと」ができるんですね。
香瑠鼓氏 そう。その瞬間だけ、おじいさんと子どもがハグしたりする。それが一番の人気で、全員が盛り上がりますね。
*「香瑠鼓 ぎゅっしてハグッパ! HUG POWER」
http://www.youtube.com/watch?v=a-bNTP5LXg0
スタッフ まさにコミュニケーションですね!最後に今後の夢をお聞かせください。
香瑠鼓氏 今まで、「即興」にどれだけの力があるかをお話ししましたが、車いすの子でも即興で動けるわけです。そう、人間は生まれながらにアーティストだと思うのです。
私はそれを「身体のなかに森羅万象がある」と言っていますが、私は自分が歌って踊ることで「森羅万象ってこういうものだ」と示したいと思っています。私が自分でやったものを、見て、感じてもらって、森羅万象を見せたい。さらにこれを世界中に広めていきたい。
言葉も使いますが、「擬態語」も使います。たとえば「シュワシュワ」「ビーン」というような擬態語は人種を選ばないし、障がいのある・なし、言葉を使わない方もできることです。擬態語でお互いがつながること、すべての人がつながるようにしたいです。
私自身は論理的思考を持っていて「こうだから、こうだ」という人間ですが、今はそうではないところを探っています。先ほどお話ししたユカちゃんのほうがすぐれているところがある。そのすぐれているところは何か? ということですね。
今の世の中って、みんなをまとめて行く人は「論理的思考」だと思うのです。でも、その前に感じることがあって、感じていることがみんなに影響力をもつ。そんな「水平的思考」をもっとやりたいんです。
だから身体を動かして、声を出して、自分がアーティストとしてその場を変える。論理ではなくて、「場を変える」ことをめざしています。
スタッフ 香瑠鼓さんが色々な方の感性を引き出しているのをお聴きすると、世の中の「論理的思考」「科学的思考」がハンディキャップの人をつくっていくのではないか? という考えが浮かびました。
香瑠鼓氏 ぜひ「バリアフリーワークショップ」を観に来てほしいです。うちのメソッドは、自分をよく見せながら相手のこともよく見せます。相手だけをよく見せて自分を殺しちゃうと「介護」になりますが、私たちはアーティストですから「自分が輝いて、相手をよく見せる」ようにします。
たとえば何もわからないダウン症の子で、ずっとはねている子がいます。私がその子のことを「あ、教祖様がいる」と言って輪の真ん中にしたとします。すると、その子は教祖という言葉を知らなくてもクルクルまわりはじめたりします。次にまわりの子たちが、それを真似しはじめるのです。そんなふうに物の見方をパッと変える。そういう切り替えを科学的なメソッドとしてやっていくんですね。
スタッフ 「そとでる」のご利用者の大半は高齢者で病院の送り迎えが多いですが、ハンディキャップのお子さんもいらっしゃいます。お話をうかがいながら、私たちももっと多様な企画を考えたい…と思いました。
香瑠鼓氏 大事なのは自分を魅力的に見せながら、相手も魅力的に見せること。お互いに「尊厳」をもたないとできないことですから、私はそこを大切にしています。私たちの事務所には若者で即興をしているグループ(アーティスト集団「ApicupiA」アピキュピア)がいるので、お声をかけていただけたらイベントなどでお役に立てると思います。

スタッフ そうですね。「尊厳」というのはとても大切だと思います。障がいのある方も高齢者も、普段できないことに参加すると確実にイキイキとします。私たちはご利用者様がお喜びになることをしたいと思っているし、喜ぶ方がいらっしゃるからこそ、この仕事ができています。
ご利用される方にはいつも「介護」されているだけではなくて、もっと新しい体験をしてみたい、感じてみたいと思っていらっしゃる方もおいでなので、香瑠鼓さんのお話が参考になりました。本日は「そとでる」の可能性を広げていただいた気がします。ありがとうございました。
聴き手:「そとでる」センター長・羽石 邦、スタッフ・伊藤裕幸、石黒眞貴子。
文・写真:石黒眞貴子