■「できません」はなるべく言わない
― 開業によって共有できるお時間が増えて、ご家族の皆さんもお喜びですね。お子さんはもう大きいのですか?
高校3年生と高校1年生です。最近は早く家に帰ると「もう仕事は終わりなの?」って言われることもあります。(苦笑)。
― 思春期の子どもの愛情表現は、そんな感じなのかもしれないです。奥さまはいかがですか?
今、妻は区内の病院で看護助手をしていますが、仕事については話が合うというか、わかってもらえるのが嬉しいですね。
― 実際に、仕事を一緒におやりになることはありますか?
めったにはありませんが、「〇〇病院~自宅」の退院の予約が入り、その病院がたまたま妻が勤めている病院だったことがあります。そこに入院していらした患者さんが退院する際、自宅から持ち込んだ組み立て式のリフトを使う方でしたが、ベッドからの移乗の際に、リフトの準備・操作の扱いに慣れているということで(ご家族からの要請もあり)ヘルパーとして同乗してもらい、自宅でリフトでの移乗もスムーズに行うことができました。
― 同じ業界のことを知っている方と話し合ったり、一緒に働く機会があるのはいいですね。なにより、志というか同じ方向を見ているご夫婦の強みを感じます。
ご家族の皆さんとして、「夢」はおもちですか?
そうですね。我が家は仲がいいほうだと思いますが、最近は一緒に出かける機会が減って少し寂しいです。実家には父と兄の家族がおります。ここのところ、しばらく帰省していないので家族そろって会いに行ければと思っています。
― 久米さんは「人と人」という関係性のなかで、どんな場面においても大切にかかわることを意識されているんですね。
どんな仕事でもそうだと思います。特に実感したのは私が骨折で入院している時のことですが、開業当時からご利用されているお客様のご家族が病院までわざわざお見舞いに来てくださいました。とても感激しました。
あとプライベートでは、出身である沖縄の同級生がうちな~噺家(うちな~はなしか)として活躍しているので(立川志ぃさー氏)、東京で公演の時はよく見に行きます。俳優として「ちゅらさん」や「テンペスト」などにも出ています。今度9月に東京・下北沢で公演があります。
― うちな~噺家(うちな~はなしか)ですか? 珍しいですね。
珍しいと言えば、先ほど久米さんは積極的に研修会やイベントに参加してくださると申しましたが、特にクリスマス会や花見会などで好評の「三線演奏」が印象的です。私たちスタッフとしては、つながりを大切にしていただいて本当にありがたいですが、正直、大変な時もあるのでは?
自分も楽しんでやっていますので……。(笑)と言うより、私を必要としていただけるなら喜んで、どこへでも行きます。
「できません」というのはなるべく言わないように、「やってみよう」という気持ちや「挑戦」の気持ちがあります。「三線」も同じで、始めたばかりだけど頑張ってみようと思います。
― 三線は「お聴きするごとにお上手になられている」と、皆さんがおっしゃっていますね。かなり練習されていますか?
自己流ですが、それなりに頑張って練習しています。
(写真:2013年12月「そとでる」クリスマス会より)
― ありがたく思います。これからもイベントなどで拝聴する機会を楽しみにしています。
最後に、ご利用者様や「そとでる」についてのメッセージをお聞かせください。
世田谷区に「そとでる」ができて区民の皆様も移動手段の選択・確保が電話1本ででき、随分と楽になったと思います。どうぞ安心してご利用ください。必ずご要望に合ったお車を配車いたします。
また「そとでる」においては、年々増えている登録事業者やご利用者様の要望にお応えするため日々の業務が大変だとは思いますが、スタッフの皆さん、どうぞ頑張ってください。私も登録事業者の一人として、微力ながら協力をさせていただきます。
【インタビューを終えて】
「嘘をつく人はきらい。嘘をついているかどうかはすぐにわかります」。ニコニコと微笑みながらお話しくださっていた久米さんが唯一、厳しい表情をされた際におっしゃった言葉です。
「人と人」の関係は正直でなくてはいけない、信頼にもとづくものでなくてはいけない。
そんなまっすぐで強いお気持ちがベースにあるからこその、ご家族やお友達、仕事のお仲間とのあたたかい関係。
取材時、シャイなお人柄の久米さんは高ぶらず寡黙でしたが、これからもずっと「正直」「信頼」をベースとして、“つながりながら”走り続けていかれるのでしょう。ありがとうございました。 (取材・文・写真:石黒眞貴子)