羽石 邦(はねいし・くに)

役職
世田谷区福祉移動支援センター「そとでる」センター長

○プロフィール
東京電力株式会社勤務を経て、定年退職後、特定非営利活動法人「ハンディキャブを走らせる会」に所属。サラリーマン時代に培ったコミュニケーション能力や判断力を「移動支援」の場で最大限に活かして活動。その後、2010年より、現職に就く。
主な資格:囲碁アマ五段。 趣味:旅行、湯治場巡り。
「好き!」:妻がつくる肴で、“一杯”。 

○スタッフから見た「こんな人!」
分け隔てなく、公平に接するお人柄を尊敬。大らかな物腰と笑顔のセンター長に安心する。



○「そとでる」との出逢い

長年勤務していた会社を定年退職したあと、「さて、これからどんな生き方をしていこうか?」と、「第二の人生」を模索した時期がありました。
まず世田谷区役所に行って世田谷ボランティア協会をご紹介いただきましたが、協会に相談したところ「ハンディキャブを走らせる会」をすすめていただきました。
「ハンディキャブを走らせる会」ではドライバーを募集していたのですが、運転が好きだったことやプライベートな時間とのかねあいを考えてお手伝いすることを決めました。そして、会社勤めをしながら熱心にボランティア活動をしていた「ハンディキャブを走らせる会」のメンバーと出逢いました。1999年の秋のことです。


「ハンディキャブを走らせる会」は1985年に発足した会ですが、2002年に特定非営利活動法人の登録を行い、2004年に福祉有償運送事業の許可(現在は登録制)を得ました。もともとは「障がい者青年学級(けやき学級)」の送迎を行っていましたが、現在は当時のボランタリーな想いを大切にしてさまざまなご利用者の移動を支援させていただいています。

いま、私がお手伝いするようになった頃をふりかえると、時代が「移動支援」という活動を求めていたのでは?と思います。スタッフとして活動させていただくようになった頃から急激に、ご利用者の数、移動支援を行うNPOの数が増えていきました。
その後、「移動支援」の必要性を重んじた世田谷区が移動支援を行う機関の助成をスタートすることになり、徐々に体制が整って、2006年に「世田谷区福祉移動支援センター・そとでる」が創設されました。


2009年、「ハンディキャブを走らせる会」は、NPO団体の集まりである「世田谷移動サービス協議会」と協力して、ボランティア活動から得た確かな技術、ご利用者との接し方などの豊富な経験をもとに「そとでる」の運営をお任せいただくことになり、その関係で2010年から私がセンター長を務めさせていただくことになったのです。

(*「そとでる」は世田谷区から補助金交付を受けて、2011年から「NPO法人せたがや移動ケア」が運営しています)



○仕事を通じて、よかったと思うとき、やりがいを感じるときは?

「やさしい気持ちになることができる」でしょうか。
困っている人がいらっしゃって、その方をお手伝いすると、笑顔でお礼を返してくださる。
すると、そのご利用者のホッとしたやさしい気持ちがこちらにも伝わって、なんとも言えない「やさしい気持ち」になることができます。
外に出たくても出ることができない方、どこかに行きたくても行けないからあきらめてしまう方が、いま現在、必ずいらっしゃる。
そんなご苦労をされている方々に「(サポートを)お願いしてよかった!」と思っていただけると、本当にありがたく思います。



○心がけていることはありますか?


長く営業畑で勤めてきましたが、当時から「同じことをいやがる」傾向がありました。それは特別なできごとに遭遇したい、つくりたいということではなく、「丁寧に、淡々と」過ごせば、おのずと毎日が新鮮になるという意味です。
たとえば、ご利用者との接し方やクレームをいただいたときの対応など、丁寧に、淡々と、かたよらずに行う。当たり前のことかもしれませんが、そうした心がけが毎日を新しくし、信頼にもとづいた対人関係をかたちづくっていくと思います。



○「そとでる」について

「そとでる」のセンター長を務めさせていただいているうえで意識しているのは、世田谷区との意思疎通の重要性です。区役所や区議会議員の方には届きにくいご利用者のお気持ちやクレームをお聞かせいただくこと。「そとでる」は、そのいただいた「声」を世田谷区にきちんとお伝えして、考えていくことが大事ではないでしょうか。
「そとでる」スタッフについては、全員が良い関係のなかでリラックスして従事してほしいと思います。やはり、良い仕事をするためには、職場の環境や人間関係が基本だと思いますので。




○今後の夢や、やりたいことは?

先ほど、「(私が)移動支援にかかわるようになった頃、急激にご利用者やNPOが増えた」と話しましたが、現在はそのような時期を経て、「私たちは利用者のためにどんなことができるか」を考えなくてはいけないと思います。
ご利用者に、より満足していただくためにどうすればよいか?
「この運転手ならおまかせできる」という“強み”をもった事業者たちが「そとでる」に登録されていることを広くアピールしていきたいですし、食事やイベントなどの場をつくることも大切です。
ただ、目的地までお送りしたり、お迎えするのではない。手を貸してさしあげる。そのとき、気持ち(心)も一緒にお伝えする。技術的なことはもちろん、それらがあって初めて「心強い運転」なのではないでしょうか。
「そとでる」は、いつもあたたかい“気遣い”を意識しながら歩んでいけるとうれしいです。



○ひとこと
ひとことで言うと、「ご利用される方のために『よいサービス』がしたい」です。どうぞ、「そとでる」へご連絡ください。スタッフ一同、お待ちしております。